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2020年6月

「真珠 海からの贈りもの」展 を観てきました

このコーナーでもご案内していました渋谷区立松濤美術館にて開催中の 「真珠 海からの贈りもの」展に昨日行ってきました。
新型コロナウイルス感染予防の影響で、会期が変更になり、6月2日~9月22日となっています。

 

松涛美術館は 渋谷から文化村を通り越して徒歩で約15分ですが、
昨日は かなり気温が上がっていたので、井の頭線神泉駅から行ってみました。(徒歩5分)

 

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入館前に手指の消毒や 緊急連絡先の記入などをすませて、中に入ります。
まずは地下一階の第一展示室.へ。
ここでは 古代の装身具に始まり、ルネサンスからロココ、そして19世紀から20世紀へと見事なジュエリーの展示が続きます。
まだ養殖真珠が誕生する前のジュエリーですから、すべては天然の真珠ということになります。
古代の耳飾りも案外身に着けられそうで気になりましたが、
何と言っても見ごたえがあるのは ジュエリーが華開いた19世紀 のジュエリーです。

 

バロックパールの形そのものを生かしたユニークなジュエリー、
シードパール(種のような小さなパール)に白い馬の毛を通し  デザインされた白蝶貝の土台にくくりつけたもの、
パールを半分にカットして使うハーフパールなど
ひと口にパールのジュエリーと言っても 実に様々な素材があります。


また、パールは メインとして使われる以外に わき役としてジュエリーには欠かせない物です。
カメオのフレームやペンダントを下げるネックレスの部分など、こうして考えると ほとんどのジュエリーに使われているといっても過言ではありません。

 

そういう意味で、この展覧会では パール=白のジュエリー以外に、ガーネット、ブルーエナメル、ゴールドなど実に多彩なジュエリーを観ることができます。
 

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(松涛美術館HPより)

 

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2階にある第二展示室は 日本における真珠の展示。
 
 
真珠についての生物学的説明や 養殖真珠についての説明もありましたが、
印象に残ったのは 日本のジュエリーの黎明期に ミキモトが製作したジュエリーや当時のカタログなどが
とても興味深かったです。
 
 
西洋と比べるとジュエリーの歴史の浅い日本、しかも文明開化からそれほど時間が経っていない時期に
あれだけの物を作ったというのはさすが、日本の職人の持つ高度な技術をうかがわせます。
 
 
総展示作品は 100点ちょっとでしたが、
以前 勤務していた会社の姉妹会社にあたる穐葉アンティークジュウリー美術館の作品との再会。
実際に手にしたことのあるものも数多くあり、それらを目にしているうちに当時の思い出が浮かびあがり、
懐かしさとともに感動的な気持ちを味わうことができました。
やはり本物の迫力は違いますね(当たり前ですが)。
 
 
100年、200年経っても色あせることのないジュエリーの魅力。
特にパールのジュエリーは気品が漂い 今でも身に着けてみたいと思うものばかり。
 
 
 
ここ数年、都内でのアンティークジュエリー展覧会は 無かったので、
久しぶりに いい時間を過ごすことができました。
 
 
 
こちらの展覧会は 9月22日までやっているので、暑くならないうちにいらして下さい。
 
 
尚、本展覧会には【真珠割引】というのがあります。
最初、グッズコーナーで真珠のジュエリーでも売っているのかと勘違いしましたが、
当日 真珠(人造も可)を身に着けて行くと、入場料が2割引きというちょっと嬉しいサービスでした。
行かれる方は 是非こちらもお忘れなく。
 
 
 
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6月の誕生石パールのお話(その3) パールのネックレス

 

6月の誕生石パールのお話 第3回目はパールのネックレスについてです。

 

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(PEOPLE&PEARLSより)

 

西洋では パールは純潔と無垢の象徴と言われ  人生の節目を祝うときに女性に贈られました。

それは誕生から洗礼式、そして成長するにつれて 高校の卒業式、21歳の誕生日(日本の成人式)、大学の卒業式、婚約式、結婚式というふうに続きます。

また Add-a-Pearlという習慣があり、毎年  誕生日に母親、祖母、叔母などが それぞれ1粒のパールを女の子にプレゼントし、その子が成人したときにこれらを繋いでネックレスにするという習慣です。一度にまとめてネックレスにすることもあれば、少しずつ パールを増やして長くしていくということもあるようです。

 

この他 生後間もない赤ちゃんに小さなパールのブレスレットをつけたり、耳にパールのピアスをつけたり、初めてのパーティーに出席する少女の胸元には繊細なパールのネックレスといった光景もよく見受けられます。

またヴィクトリア時代のルールでは 未婚の女性が身に着けることを許された唯一のジュエリーは  パールの中でも繊細で清楚なハーフパールと呼ばれる天然の小粒パールを半分に割ったもので作られたものとされていました。

 

 

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(PEOPLE&PEARLSより)

 

パールジュエリーにまつわる これらの話は  皆どこかで聞いたことがあるのではないかと思いますが、日本ではどうでしょうか。

お孫さんの成人のお祝いにパールのネックレスを探しているという女性にお会いしたことも何度もありますし、結婚式には やはりパールのジュエリーをと思われる方も多いようです。

 

ただ 気になるのは それらのジュエリーのその後です。

一般的にパールのネックレスと聞くと 冠婚葬祭用というイメージが定着しているような気がします。

特に年齢を重ねてからは 仏事の方が機会が圧倒的に多くなってしまうので、せっかくのパールの出番は ちょっと違った意味合いになってしまっています。

これは 何とももったいないことだと思いませんか? もう少し 身近なジュエリーとして 楽しみたいものです。

 

そこで今日は ケースの中に眠っているパールのネックレスやイヤリングを見直してみようというご提案です。

イメージが湧きやすいように 海外の映画やドラマでの装いを取り上げながら見ていきたいと思います。

映画の中のパールのシーンというと、20世紀初頭のアールデコファッションが素敵だった「華麗なるギャツビー」の中でミア・ファローが身に着けたロングパールネックレスのコーディネートは20代の私にとっては憧れでした。

またアガサ・クリスティーのドラマや、最近ちょっとはまっているThe Collectionという1940年代後半のパリのオートクチュール業界を舞台にしたドラマ‥

これらを見ていると いかにパールのネックレスが多く登場するか。

もちろん これらはフィクションですが、その時代のファッションをヒントにしていることは間違いないので、とてもいい参考例になります。

 

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(「華麗なるギャツビー」より)

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(「華麗なるギャツビー」より)

 

 

ひとくちにパールのジュエリーと言っても ボリュームやデザインによって かなり印象が違ってきます。

若いうちは シンプルな細いネックレス、そして年齢を重ねるほど 三連などのボリュームやデザイン性の高い物も 日常的に着けこなしてしまいます。

ブローチとのコーディネートなども含め、個性にあった着けこなしが楽しめるのもパールの魅力です。

 

それでは、種類別に少しご紹介していきましょう。

 

【短めのシンプルな一連ネックレス】40cm~45cmというスタンダードな長さのネックレスで「プリンセス」と呼ばれています

これはほとんどの方が一本は持っているのではないでしょうか。

あまり華美に飾り立てるのが好きではないという方や、仕事の時におすすめ。

襟なしの服に合わせると 素肌の美しさと相まって 清楚な印象を与えますが、職場などでは ブラウスやワンピースの襟もとに ちょっと覗かせるという着け方がいいと思います。

さり気ないけれど、きちんと装うというお洒落の基本を理解しているという印象になります。

 

 

【長めの一連ネックレス】「マチネ」と呼ばれる少し長めの50cm~55cmのネックレス 又は「オペラ」と呼ばれる70cm~80cmのもの

少し長めのネックレスは おそらく2本目として持っていらっしゃる方が多いと思います。マチネはビジネスシーンにもマッチしますが、オペラとなるとパーティーシーンでも活躍します。

華やいだお席では短めの物との2本重ね着けもお薦めです。

 

【三連ネックレス、ドッグネックカラーネックレス等】

海外のドラマや映画では 実にシチュエーションに合わせて いろいろなタイプのパールネックレスが登場します。

たとえば 三連ネックレスはそれだけで存在感があります。

同じ三連でも珠の大きさによっても印象が異なり、小さめの粒がそろった三連は きちっとした印象に、大き目の粒や 中央からグラデーションになっているものは 優雅で大人の女性といった印象になります。

また 首にピッタリと巻きつくようなドッグネック風のチョーカーに ロングネックレスをジャラジャラと重ね漬けするスタイルも、アールデコ風のスタイリッシュな物から 老婦人などが 自由自在にファッションを楽しんでいるものなど さまざまです。

 

このブログを書くにあたって、テレビで見かけたコーディネート例をiphoneで撮影した画像が何枚かあるのでご紹介します。

光の反射などで見にくい部分があるのは お許し下さい。

 

まずは、アガサ・クリスティーのミス・マープルのシリーズから。

1枚目の画像は 秘書役の人のスタイル。仕事の時は控えめだけど どこかエレガントな印象を与える使い方です。

 

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2枚目は 多連のネックレスをニットのアンサンブルに合わせたスタイル。

物語の中では この女性、実は犯人で 首の疵を隠すためにいつもチョーカーを着けていたという 何とも言えないオチがあるのですが、

確かに 欧米の女性は 首の皺を目立たなくするために チョーカーを着けるというアイデアはよく聞きます。

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3枚目は小さめの粒の揃った二連パールに 異素材のブローチを合わせた例です。

ブローチもパールになると ぐっとフォーマル感が高まりますが、ちょっとしたお集りや外出の時には 敢えて異素材のブローチを持ってくるというのがお薦め。

センスの良さが際立ちます!

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(「ミス・マープルシリーズ」より)

 

さて、こちらの3枚の画像は THECOLLECTIONというドラマのシーン。ファッション界が舞台なので 華やかな着け方がメインとなります。

1947年のクリスチャン・ディオールのドキュメント「コレクションの舞台裏」を見ると ディオール氏が  いかにパールのネックレスの重ね着けを多用していたかが分かり興味深いですが、

このドラマの舞台背景も一致するので、きっと参考にしたのではないかなと思います。

 

1枚目は 夫を支える有能な妻。

パーティーの席では 美しさだけでなく社交性も必要とされ、立場にふさわしいジュエリーの装いが求められます。グラデーションになっている大ぶりのパールとイヤリングにも大粒のパールを一粒。貫禄が感じられますね。

 

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左は1枚目の人物ですが、右側はブランドのパトロンのような女性。個性的な帽子と8連のチョーカーの対比が素敵です。1950年代のヴォーグなどを見ると こういったファッションがよく登場しています。

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3枚目。ショーの最後を飾るウエディングドレスのシーンでは、パールのチョーカーに長めのネックレスを5本重ね着けしています。イヤリングは もちろん大きめのパールのドロップスタイル。

パールのジャラジャラ感は ブライダルにふさわしいかどうか 意見は分かれるところでしょうが、パーティーファッションとして取り入れてもいいですね。

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(「THE COLLECTION」より)

 

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いかがでしたか?

ほんの一部でしたが、映像や雑誌などを見るとパールジュエリーがいかに多くの女性を飾ってきたかがよく分かります。

少しでも装いの参考になればと思いますが、 まずはご自身の手持ちのパールを取り出して、少しずつ 生活の中に取り入れてみてください。

若いうちは まだ抵抗があるかもしれませんが、40代を過ぎたら ちょっとした外出の際にも さり気なくパールのネックレスを、もしまだ抵抗があるようでしたら シンプルなパールのイヤリングを身に着けるあたりから始めてみてはいかがでしょうか。

 

人類と深い縁のある パール。

自分はパールが似合わないと思っていらっしゃる方もあると思いますが、それは選び方が違っているだけ。

ホワイトパール、ゴールドパール、グレーパールなど 色選びでも違ってきますし、大きさもとても関係があります。

ネックレスなどは グラデーションの方が似合うのか、均一の方が似合うのか、一連がいいか、二連、あるいは三連が似合うのか等々 判定の要素はいろいろあります。

 

今回は 種類別にご紹介しましたけれど、ご自身にしっくりくるデザインというのは 年齢にかかわりありません。

あなた自身の 使い方で もっともっと パールを楽しんで下さい。

 

 

6月の誕生石パールのお話(その2)

20世紀初期に 養殖の技術が確立されるまで
パールは天然のものしか手に入らず、それだけ稀少性が高かったわけですが、
数千年前、ペルシャ湾・インド洋のマナール湾、紅海で採取されてきました。

産地から遠く離れたヨーロッパでは 特にパールに対する憧れの気持ちが強く、
王侯貴族は競ってパールのジュエリーを身につけました。

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そんな中でも パールを愛したのが まずは英国のエリザベス一世。
生涯独身を貫きバージンクイーンとして君臨したエリザベスは
純潔のシンボルとして こよなくパールを好みました。
当時の権力者は 衣裳にパールや宝石を縫い付けたものを身に着けました。

ロンドン テートギャラリー所蔵のこちらの肖像画は「不死鳥のポートレート」と呼ばれるものですが、
髪飾り、カーカネットと呼ばれる首飾り、そしてドレスにもパールが縫い付けられ、
宝石やレースとともに華やかで威厳のある装いとなっています。


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(1575年42歳の時の肖像画 ロンドン テートギャラリー)

 

エリザベス一世のスタイルは かなりインパクトのあるものでしたが、
こちらのウージェニー皇后の装いはどうでしょうか?

フランスのナポレオン三世の皇后であったウージェニーは
フランス宮廷の華として君臨し、マリーアントワネットのファッションを手本にしたと言われます。

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(1853年の肖像画 ウィンターハルター画 オルセー美術館蔵)


こちらの肖像画で身に着けている8本のネックレスには542個のパールが使われ、
ティアラには212個のパールと1998個のダイアモンド、
シニヨンの上のコロネットには274個の小さめのパールとダイヤモンドが使われています。

 

歴史上の2人の女性のパールジュエリーについて 簡単にご紹介しました。
次回は ぐっと身近な話題、現代のパールジュエリーについてのお話について
お伝えしたいと思います。


 

 


 

6月の誕生石パールのお話(その1)

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私たちにとって パールほど身近な宝石もないのではないでしょうか?
成人式に贈られたパールのネックレスやイヤリング。
結婚式で身に着けるパールのジュエリー等々…
このように 人生の節目において 度々登場するパールですが、
人間との関わり合いは 太古の時代から続いています。

真珠は原始人が食料として採取していた貝の中から
偶然 発見したのが始まりといわれていますが、
おそらく人類によって発見された最初の宝石の一つといえるでしょう。
真珠は貝の外套膜からの分泌液が結晶して
薄片が何千層にも重なってできたものです。

 

カットの技術を加えることで光り輝くダイヤモンドとは異なり、
取り出した瞬間から美しいパールにまつわる話は沢山ありますが、
養殖真珠が誕生したのは 20世紀の初期のことですから、
それまでは 天然のものしかなく、いかに稀少性の高いものであったかということは
想像に難くありません。

 

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「月夜に 海の上に貝が浮かび上がる

そして 静かにその殻を開いた時、

天空の月から 一粒のしずくが貝の中に落ちる

貝は それを抱いて 再び海深く潜り、

そのしずくは やがて成長し真珠となる」

この何ともロマンチックな文章は 古代ローマの博物学者プリニウスの「博物誌」の中の記述です。
真珠は 昔から 涙やキリストの命などにたとえられていますが、
貝から生まれるということそのものが、
人間にとっては とても神秘的なものと捉えられていたのでしょう。

神秘性、天然パールの稀少性 そして何よりその美しさを考えると
古代から現代にいたるまでのパールジュエリーに対する
私たち 人間の憧れは どれだけのものだったのか、想像がつきます。

 

次回は パールジュエリーの歴史を簡単にご紹介したいと思います。

 

 

「真珠展」のご案内

さて、現在 渋谷区の松濤美術館で とても素敵な展覧会が開催されています。
アンティークの貴重なパールジュエリーを肉眼で目にする 貴重な機会。
9月22日までの開催予定なので、是非 お時間を作っていらしてください。

詳細はこちらをご覧ください。

 

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